深沢かすみ先生の悪女の一生。
とても読み応えのある大好きな作品です。
最終巻の9巻を購入し読みましたので、感想とあらすじを書いていきたいと思います。
火事の後、警察に事情を聞かれる未散と数馬。
しかし、綾乃の恐ろしさを知っていた2人は真実を告げずに口を閉ざすのでした。
場面は変わり衣子の別荘。
別荘のとある部屋には吉井からの攻撃で負傷し動けなくなった衣子の兄がいました。
衣子はこうなることは全て計画通りであり、そのために吉井を使った、と兄に話します。
衣子の本性を知った兄は衣子を家に迎え入れたことを後悔し、なんとか衣子の思い通りにはさせない策を考えるのでした。
場面は変わり別荘の庭。
音弥は自分の姿を未散達に見られてしまったことを衣子に話します。
そして未散たちは、衣子が綾乃であることも気がついているため、彩乃に逃げることをすすめます。
綾乃という名前を聞き、困惑する衣子。
衣子は本当に自分が綾乃だった時の記憶を失っているようでした。
場面は再び衣子の兄が寝ている寝室。
兄の部屋に花恵が薬をもっていきます。
衣子の兄は藁にもすがる思いで、花恵に衣子の本性を話します。
衣子が自分の本当の妹ではなく、記憶をなくし行き倒れ寸前な所を助けた全くの他人の女性であること、
亡くなった自分の妹にそっくりだっために、妹の身代わりにして衣子と名乗らせたこと、
全ての真実を聞いた花恵は、父が以前話していた綾乃という恐ろしい気性の女性の話を思い出します。
そして衣子が綾乃だと気がつくのでした。
衣子の兄は、花恵に、必死で自分の親戚に綾乃の真実と恐ろしさを伝えてほしいと懇願するのでした。
すぐに逃げるべきかもしれない、とひとり困惑する花恵。
そんな中、花恵は庭に掘り返したばかりのような柔らかい土の部分があることに気がつきます。
まさか、、と青ざめながら地面をほる花恵。
そこにら大きな木箱があり、その中には以前音弥が運んでいた荷物があり血が滲んでいました。
君江に違いない、と思い涙を流す花恵なのでした。
もう衣子の側にいてはいけない、と思ったら花恵は、衣子の見ていない隙を狙い、家に電話をかけます。
父親の数馬に自分が君江のことを話す花恵。
数馬は、自分が迎えに行くまで、衣子に感づかれないように普通に過ごんだ、と花恵に伝えます。
数馬と花恵は、暗いとかえって危険なので、朝の5時に屋敷の側にある国道につながる脇道で落ち合うことを約束するのでした。
数馬は、絶対に無理はしないこと、衣子は危険で恐ろしい人物なこと、少しでも怪しまれていると感じたらまた別の方法を考えるから動かないこと、と花恵に念をおしました。
電話を切ったあと涙を流す未散。
「心配するな、あの子が心を開いたんだ、絶対取り戻してみせる」と数馬は未散を励ますのでした。
しかし、衣子は、花恵の電話を物陰から聴いていたのでした、、
翌日の朝、朝の4時に目を覚ます花恵。
しかし4時にしては外が明るいことに気がつきます。
青ざめる花恵。
なんと花恵の部屋の時計は時間をずらされていて、朝の5時は過ぎていたのでした。
国道に続く脇道で花恵を待つ数馬。
物音がしたため「花恵、こっちだ」と声をかける数馬。
しかしそれは花恵ではなく銃を持った綾乃(衣子)でした。
不適な笑みを浮かべて銃を構える綾乃。
さらに音弥も現れ、綾乃は音弥に
「音弥、その男の首ねっこをへし折っておやり」
と命令します。
数馬に近づく音弥。
その時、「やめてっ」と声がします。
「おばさまは分かってない、大切なものを失った人の気持ちが、、、
おばさまは言ったわ、それなりの罰は受けなければと
それは吉井だけではなくおばさま自身に対しても言えることよね」と花恵は綾乃に言います。
綾乃は「まさか私を裏切るの?もしそうならあなたを生かしておくわけにはいかないわ」と言い、花恵に銃を向けます。
銃を撃つ綾乃。
花恵を守るために間に入った数馬の腕に銃は命中します。
さらに発砲を続ける綾乃。
3度の銃声が鳴り響きます。
弾は、数馬と綾乃の間に入った音弥に命中するのでした。
「市造っ!」
倒れる音弥を見て青ざめる綾乃。
「もう全て終わりにしなければ
そばにいられて幸せだった
ただ、あなたを置いて逝くことだけが、、、」
音弥はそう言い残し息を引き取るのでした。
綾乃は音弥が市造であることを思い出します。
綾乃の頭の中に市造との記憶が蘇ります。
「ダメよ!お前がいないと私は、、!
目を開けておくれ
市造!!」
子供のように泣きじゃくる綾乃
綾乃は抵抗もせずに駆けつけた警察に連呼されたのでした。
場面は変わり病院。
腕を負傷した数馬を見て涙を流す花恵。
花恵は命がけで自分を守ってくれた父親のために、医者になることを決意するのでした。
後日、君江が海岸沿いの洞窟に匿われていたところを警察に発見されます。
音弥が食べ物や着替えを運んでくれ、君江は無事命を取り留めていたのでした。
綾乃はあれほどたくさんの罪を重ねながら罪を糾弾されることはありませんでした。
それはもはや、綾乃は綾乃でもなく衣子でもなく、人格を失ってしまった1人の女性だからでした。
綾乃の心はどこかへ行ってしまい、からっぽの美しいいれものがそこにあるだけでした。
綾乃は米倉社長の屋敷に引き取られていました。
数馬と未散は、社長の願いを聞き入れ綾乃を見舞いに行きます。
綾乃は歩くこともままならず、
「市造がいない、、
どこにいるの?」と泣くばかりでした。
場面は変わり、花恵とハルミ。
花恵が医師を目指すという話を聞いてハルミは自分は看護師になると言います。
2人の少女は夢にむかい歩き始めたのでした。
場面は変わり数馬の家。
未散は「綾乃さんを引き取りたいの
ずいぶん迷ったけどそうしたいの」と数馬と花恵に告げます。
花恵は「あの人は病人だけど罪人なのよ」
と困惑します。
しかし、未散は、綾乃がたったひとりの義妹であること、もしかしたら綾乃は悪女から生まれ変わらなきゃならないのではないか、と思っていること、
綾乃に償うことの意味を知って欲しいいこと、
綾乃のカラッポの心を美しいものや優しいもので満たしてあげたいことを涙ながらに伝えます。
そして、綾乃と一緒に自分も救われてたいと話すのでした。
数日後、
綾乃の車椅子を引く未散の姿がありました。
「市造どこ?」と未散に尋ねる綾乃。
そんな綾乃に未散は市造は姿は見えないけれどいつも綾乃の側にいて綾乃を見守っている、と答えます綾乃は賢明な努力により医学部に合格します
綾乃とい未散は初めて本当の姉妹のように穏やかな時間を過ごすのでした
月日は流れ
風をこじらせ意識が朦朧とする綾乃
未散は急ぎで医者を呼びに行こうとします
しかし綾乃は未散に医者は呼ばなくていい、と訴えます
涙を流し手を合わせる綾乃
その姿は未散に感謝の気持ちを伝えているようでした
綾乃は安らかに天に召されたのでした
涙を流す未散なのでした
その後、花恵は賢明な努力により医学部に合格します。
未散たち3人家族はその後も穏やかに暮らすのでした。
★とても感動的なラストでした。
花守りの家と綾乃に翻弄された未散の人生。
しかし最後はしっかりと自分の生き方を貫いて強く生きた未散なのでした。