韓国で社会問題になっている〝毒親〟をモチーフとしたミステリー映画《毒親ドクチン》。
個人的にはお子さんを持つ全ての親御さんに見て頂きたい。
ラストの衝撃の事実がわかるシーンは涙なしでは見られません。
早速見ましたので、結末のネタバレと感想を書いて行きます。
結末を知りたくない方はご注意ください。
成績優秀な娘の教育のためなら、友人関係に口を出し、盗聴、食事管理…手段を選ばず何でもしてしまう母と壊れていく娘。
まずズバリ結末から、、
主人公のユリは冒頭で他3人の自殺志願者と共に車の中で一酸化炭素中毒を発生させ亡くなります。
ユリが亡くなった本当の理由はなんだったのか?
がこの映画の重要な部分です。
その自殺志願者4人の中の1人の男性が、途中で怖くなり逃げ出し、警察はその男性から事情を聞くために男性を探し出します。
男性が見つかったあと、その男性はユリが亡くなる直前に語っていたユリの母親についての話を警察にします。
それは母親が嫌いだ憎んでいる、という内容でした。
やはりユリを追い詰めたのは母親に間違いないのです。
しかし、その母親も幼少期に自らの母親から酷い虐待を受けていて、ユリはそれに気が付いていました。
だからこそユリは母親に反発しながらも母親を切り捨てることができません。
ユリが母親を憎み母親に対して酷い言葉を吐きながらも、母親を切り捨てられないのは決して未成年だからではありません。
その辺りがすごくリアルでした。
母親はユリの死を自分のせいだとなかなか認めず、学校や友人のせいにします。
母親が1番悪いのは確かですが、この映画では学校の先生もユリの友人も、ユリの母親をユリが死を選ぶ原因になるほどの毒親だとは思わず、見過ごしていたことにも問題があるのではないとか、という疑問を投げかけています。
また、ユリにはごくごくまともで普通に見える優しい父親もいました。
しかし父は母親とユリの間に入り仲裁役をすることはあっても、母親の異常さを強く否定しとめることができませんでした。
確かに母親はユリに暴力をふるったりネグレクトをしていたわけではありません。
むしろ送り迎えや食べ物などユリが良い人生を遅れるために必死でした。
ユリの母親は子供への愛情の伝え方や愛し方がわからなかったのです。
ユリはそれに気がついていて、ユリは母親を憎みつつも母親に同情していました。
ユリは心から母親想いだったのでしょう。
「このままの関係を続けていたら、いつか私がお母さんの命を奪ってしまう、だから私が命を絶とう。」
これがユリの哀しい決断でした。
最後の回想シーンで、ユリが友人と一緒にお茶をしている際
「わたしはお母さんのお母さんに産まれ変わりたい、そしてお母さんに愛し方を教えてあげたい」友人に話しているシーンがあります。
このシーンは号泣でした。
ユリが死を選んだのは母親を憎んでいる以上に愛していたからなのです。
もしかしたら優しいユリは残される弟のことも考えたかもしれません。
この後、母親はユリを亡くした後に小学生の弟に厳しくあたるようになります。
母親に責め立てらた弟は
耳を塞ぎ「お姉ちゃんを出して、お姉ちゃんがいるば僕は怒られない」とパニックになり怒鳴ります。
このシーンも衝撃でした。
母親はすぐに自分を変えることが出来ない姿もリアルで悲しくなりました。
この作品はお子さんを持つ全ての親御さんに見ていただきたいな、と思いました。